ECHO通信

寺子屋ECHOを立ち上げた思い

私は、寺町今出川の北にある「法泉院」というお寺で住職をしています。その傍ら、学習塾の講師として多くの生徒たちを指導してきました。そして2020年、地域の子どもたちの成長を手助けしたい、お寺で学ぶ環境を作りたいという思いから、お寺にある塾「寺子屋ECHO」を始めることに決めました。

 

これまで学習塾の講師として、学校の成績アップや志望校合格を目標とした個別指導・グループ指導を経験しました。その中で「学習に意欲が感じられない子」「志望校に合格はしたが、学習内容が理解できていない子」に多く接してきました。

 

大手学習塾で講師をしていた時、どうしても意欲が上がらず、意志が感じられない子を担当していました。その子は中学生の男の子でした。中学生のこの時期は非常に繊細で、複雑な年代だと思います。塾以外の環境や、家庭に何かしらの原因があることは分かっていました。しかし、塾講師として学習指導だけを求められていた当時、それ以上踏み込むことはできず、もどかしい気持ちを抱えていました。結局その子は退塾してしまいましたが、単なる学習塾講師としての限界を痛切に感じていました。

 

寺子屋ECHOでは、塾長であると同時にお寺の住職である私が、学習指導はもちろんのこと、普段の生活で困難や悩みを抱えるお子さん・保護者様に寄り添います。さまざまなお話を聞くことで、学習面以外からも、お子さんの成長のお手伝いをしたいという思いからです。

 

塾講師として、多くの生徒たちの合格を目にすることができました。しかしながら、合格したは良いものの、深く理解せずただ暗記と反射だけでテストを乗り切ってしまう子も多くいました。そういった子に学習内容について尋ねると、「理由はわからない」「この単語があるからこの選択肢」といった答えが返ってきます。理解をしていないため、テストが終わると全て忘れてしまい、後には何も残らないのです。

 

結果(テストの点数、学校成績、受験合格)を重視する普通の学習塾では、このような問題に対して対処しながらも、テストが近づくと点を取るための授業をせざるを得ないことが多くあります。もちろん、レベルが高く、ただ暗記するだけで乗り切ることができない学校も多くあります。ただ、同時にそうでない学校が多くあることも事実です。

 

私は生徒の成績アップや合格は喜びつつも、暗記と反射だけでテストを乗り切り、理解できていない子を社会へ出すことに対して、講師として責任を感じています。また、近年はAIの進化により、暗記や反射だけではヒトの強みを生かせず、AIに取って代わられてしまいます。読解力が足りず、教科書を読めない子どもが多いことも言われており、まず深く読む力・考える力が必要だと考えています。

 

寺子屋ECHOでは、テストを暗記と反射で乗り切るだけではなく、深く読む力・考える力を育てます。講師からの一方的な授業ではなく、お子さんに多くの質問をし、自分で考え、表現してもらいます。自分で考えて表現することで、より自分の中での理解が深まるという考えからです。自分の力で深く考えることは、目の前の結果に対しては遠回りに見えても、力をつける一番の近道になると考えます。

そして寺子屋ECHOでは、最終的に保護者や講師に頼らずに自分で考え、行動できる「自立」した子を育てます。塾に通わなくても、自分でできる子になることを目標にしながら、お子さんとともに学んでゆきます。